2021年10月13日水曜日

自己焼結性を有する金属粉末付加製造用材料

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特願2021-165089  2021/09/03

【発明の名称】自己焼結性を有する金属粉末付加製造用材料

【技術分野】 【0001】バインダーを利用して粉末を積層する付加製造に利用する積層材料

【背景技術】【0002】 粉末焼結を前提とする粉末利用の付加製造技術において、バインダーを利用して粉末を積層する金属粉末付加製造には次の5種類がある。材料押出法(Material Extrusion)、液槽光重合法(Vat Photo Polymerisation)、スクリーン印刷光重合法(Screen Pring)、バインダーコートされた粉末を使った融解積層法(Cold Metal Fusion / Powder Bed Fusion)、バインダー噴射法(Binder Jetting)。これら5種類で造形される積層造形体は、脱脂および焼結を行い最終製品として焼結体が形成される。

【発明が解決しようとする課題】

【0003】これら5種類の造形法は、脱脂工程、焼結工程が必要である。そのため、脱脂工程では、高価な溶媒脱脂装置、あるいは触媒脱脂装置、または加熱脱脂装置が必要である。さらに、焼結工程は、すべての造形法において、さらに高価な焼結炉が必要であり、イニシャルコストとして高額な投資が必要で、小規模の研究・開発・製造、および一般家庭への普及の足かせになっているという課題がある。

【0004】本発明は、家庭用電子レンジを使用して脱脂焼結することで、高額な設備投資を不要とする方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0005】本発明は、金属粉末に誘電損率が高い酸化物、炭化物のマイクロ波自己発熱粉末を配合させた混合粉末に、バインダーを加えて混錬してマイクロ波自己発熱粉末と混合粉末が解凝集し、バインダーの中で粉末が等分散している粉末付加製造のための積層材料を使用する。

【0006】 付加製造法で作られた積層造形体を電子レンジに入れて脱脂および焼結を行う。マイクロ波により積層造形体内部のマイクロ波自己発熱粉末を発熱させ、その熱伝達により、隣接するバインダーを加熱揮散させ脱脂体を形成させた後、隣接する金属粉末を拡散固相焼結や液相焼結させ焼結体を形成させる。

【0007】この積層材料は、材料押出法の場合には、ペレットや粉砕材あるいはフィラメントにして使用する。液槽光重合法、スクリーン印刷光重合法の場合は、バインダーを多めに配合して泥状で使用する。融解積層法、バインダー噴射法の場合はあらかじめ金属粉末にマイクロ波自己発熱粉末を配合させ解凝集および均質分布になるまでミキシングした粉末を粉末床に入れて利用する。

【0008】マイクロ波自己発熱粉末としては、誘電損率が大きい材料でかつ金属拡散反応が少ない材料が望ましく、たとえば、WCFe3O4FeOMnO2SiCCuOTiO2Al2O3等がある。一方、金属粉末の鋼種は選ばないが、一般家庭への普及を考えれば、低融点合金粉末がより望ましい。

【発明の効果】

【0009】 安価な電子レンジで脱脂焼結を実施することができる。 

【図面の簡単な説明】【0010】

【図1】本発明を実施する方法および操作を示した説明図である。

【図2】脱脂段階を示した説明図である。

【図3】焼結初期段階を示した説明図である。

【図4】焼結完了段階を示した説明図である。

【図5】材料配合の一例を示した表図である。

 【実施例】

【0011】 材料押出法による実施例を示す。マイクロ波自己発熱粉末として炭化ケイ素(SiC)を使い、金属粉末として銅(Cu)、亜鉛(Zn)を使った。粉末配合とバインダー配合を図5に示す。この材料を加熱混錬、粉砕した後、材料押出法により積層造形体を造る。

【0012】 図1の示すように、セラミック断熱容器本体2内部に設置したアルミナ等のセラミック粉末5の内部へ積層造形体1を埋設させる。セラミック断熱容器トラップ部3の内部にセラミックウール6あるいはメタルウールを設置した後、容器本体2の上部に嵌合させる。さらに容器トラップ部3の上部にセラミック断熱容器蓋4を嵌合させる。一体化した断熱容器全体を電子レンジ7に設置し、出力ワットおよび作用時間を制御しながらマイクロ波を印加させる。

【0013】 第一次脱脂として、低出力100ワットで加熱し、80で積層造形体内部のパラフィンワックスを融解させ、隣接するセラミック粉末5の中へ毛細流動により流動させる。さらに280まで加熱し、残留パラフィンワックスを揮散除去させる。続いて、中出力170ワットで450まで加熱させエチレン酢酸ビニルを熱分解させ積層造形体の中から外へ揮散排出させる。揮散ガスは、断熱容器トラップ部に設置した相対的に温度の低いセラミックウール6に吸着させる。脱バインダー後の概念図を図2に示す。

 【0014】 続いて、高出力1000ワットで加熱し、500Zn粉末を液相化させCu粉末へ拡散流動させる。この概念図を図3に示す。

【0015】 さらに、700まで加熱することで亜鉛銅合金(Zn-Cu合金)に炭化ケイ素(SiC)が等分散する複合材として焼結体が完成する。最後に、印加を停止し室温まで炉冷した後、焼結体を取り出す。焼結体組織の概念図を図4に示す。

・・・・図は省略・・・・