ドイツのElement22社は、6-4チタンを1100℃という低温焼結で相対密度99.5%を叩き出す特許技術を持つチタンに特化したトップMIMメーカーである。2020年の専門誌にD&Sサービスを計画しているとあったが、HPを観ると2021年初旬からD&Sサービスを開始している。
D&Sサービスとは、Debind and Sinter Service のことで、Sinterbased AM-METAL(MIM-Like AM)のグリーン体(積層体)を、溶媒脱脂から焼結まで請け負うビジネスである。MEX(FFF、FDM)用のフィラメント(巻き線)やMEX-FPF用のペレットの販売も同時に行っており、まさに「AMからようこそMIMへビジネス」を具現化している。その実力は、MEX積層体のD&Sで相対密度98%(Typical)を出している。さらに、CMFのチタンも手掛けている。すごい技術力である。
【珈琲ブレイ句】高活性金属のチタンの脱脂焼結は通常の設備では難しいのです。世界トップのチタンMIMメーカーが、AM活用ビジネスモデルに参入し、入り口と出口であるAM材料の提供と焼結の面倒をみる、まさにキセル・ビジネスです。これは完全に差別化戦略で、このファーストペンギンの登場でMIM業界が面白くなってきました。日本国内のMIMメーカーでもD&Sを早く始めればいいのになぁ~と思う今日この頃です。
《ことば》MEX: Material. Extrusion(溶融樹脂積層法) FFF:Fused Fillament Fabrication FPF:Fused Pellet Fabrication FDM: Fused Deposition Modeling(Stratasys, Inc.の登録商標なので最近の文献での使用が減少しています) CMF:Cold Metal Fusion(コーテッド粉末をレーザーで軽く積層し脱脂焼結する)
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