2021年10月19日火曜日

式年遷宮にみる技術伝承とMIM指南書の意義

【珈琲ブレイ句】三重県の伊勢神宮では20年ごとに神宮が造り直されている。この式年遷宮の目的は「技術継承」と言われている。技能者(宮大工+大工)はピーク時は約160名で建造に携わり、その後解散するが、30名の宮大工は残し、修繕や準備、新たに参加する技能者の教育を行っているそうだ。まさに計画的に技術伝承を行っているからこそ、伊勢神宮は1300年も続いているのだ。

この20年という期間が肝らしく、30年だとうまく回らないそうだ。でも人の寿命が伸びた現在であれば30年が最適なのかもしれない。偶然ではあるが国内の老舗MIMメーカーの年齢が30年というところが多い。そして残念ながら、いくつかの老舗MIMメーカーが撤退している。MIM事業撤退の原因は、大企業のリストラ計画、設備の老朽更新時期、担当技術者の定年時期に合致しているように感じている。それは、まさに技術伝承の失敗といえるかもしれない。

技能は個人に帰属する、技術は会社に帰属する。技術屋としてやるべき使命、それは「少なくとも自分が得たノウハウを文章化して会社に残して去るべし」だ。そう考えていたので、実験の論文や報告書、失敗事例、改善事例、技術標準書を作り、小さなものではワンポイントアドバイスまでコツコツと文章化してデータベース化し、データベースファイルはエクセルで検索できるようにした。

手前味噌になるが、これらのエッセンスだけをわかりやすく体系的にまとめたものがMIM指南書である。59歳で退職後、都立大学での研究補助業務で得たCSL実験データやすべての国内MIM論文から作ったダイジェストデータを使って増補し、退職から2年後に出版したのがMIM指南書である。

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