2C-MIM(Two-Component MIM 二成分粉末射出成形)の課題をここにまとめておく。
《バインダーシステム》2成分のバインダーシステムは同じであること。理由:バインダーシステムが異なると熱膨張または熱分解挙動が異なり、金型内の成形冷却段階中や脱バインダー中に部品の欠損が発生するため。
《マテリアルロック》外コアと内コアのCoinjection構造の場合、外側が内側より若干大きな収縮率を与えることで、材料界面に圧縮強度を付加できる。しかし、その差が多きすぎると亀裂が発生する。
《2種材料の組合せ2つの課題》①材料の熱膨張係数の最適な選択が必要であり、焼結後の冷却中に材料界面に応力が発生し界面亀裂が発生する可能性がある。②焼結中の2成分界面の合金元素拡散が起こるため材料特性を劣化させる可能性がある。固相焼結、液相焼結、科学的に不適合であるか等事前に検討する必要がある。
【珈琲ブレイ句】この2C-MIM技術は、かなりニッチな世界ですね。2部品を接合するなら、溶接、圧接、拡散接合、ロウ接、焼嵌め、鋳込み等が技術的に確立しています。したがって2C-MIMが差別化技術として活躍できる世界は、これら従来技術が使えない、寸法的に小さい部品、局所的に異材にしたい、3D的に複雑な形状などでしょうか。部品としての活用分野は、関連BLOGにある通りですが、付け加えると「高熱伝導率を局所的に向上させる」ものも考えられます。ケーススタディ:SUS316L+17-4PH(非磁性/磁性)、SUS316Lマスターアロイwith Fe+Fe(非磁性/磁性)、SUS316L+ステライト(タフ/ハード)、ポーラスMIM+通常MIM