海外の文献でみるMIMのタグチメソッド(L18)。MIM不良を特性値とする成形条件の最適化事例。
金属粉末:WA-SUS316L(D90=10)
バインダー組成:PEG:73%、PMMA:25%、SA:2%
フィードストック組成:粉末62体積%
試験片:引張試験片形状(80×20×t4mm)
特性値:MIM不良(discrete data technique: 離散データ、点数、重み付け)、密度
制御因子:A:射出温度、B:金型温度、C:射出圧力、D:射出速度 各3水準 L81 すべての交互作用を分析する
《結果》MIM不良に対して高度に有意なものはひとつ。金型温度の高温側に最適値がある。密度では、射出温度と金型温度が高度に有意である。どちらも高い方が原料の流動性が向上し、より多くの粉末が金型キャビティに充填されるためである。射出圧力は成形体密度に大きな影響を与えない。これはジャーマン博士の論文と一致する。
参考文献:INTERNATIONAL JOURNAL OF INTEGRATED ENGINEERING VOL. 12 NO. 4 (2020) 210-219, Parametric Optimization of Metal Injection Moulding Process Using Taguchi Method
【珈琲ブレイ句】MIM不良を特性値とする貴重な論文です。不良は計量値ではないので数値変換が必要です。この論文では、13種の成形体不良(Flashing,Weld Line,Cracking等)に点数(重み)を付けて、実験で得た成形体の品質をその点数表を使い(複数あれば合算させて?)数字に変換するものです。ただし、不良と重みの大小を決めるには相当技術力が必要になりますので重み付けの試行錯誤(加法性)が必要になるであろうと感じます(でもすばらしい挑戦的実験です!)。