2022年8月22日月曜日

品質工学パラメータ設計事例3 成形体密度 SN比と感度

 海外の文献でみるMIMのタグチメソッド(L27)。射出条件の最適化事例。SN比だけでなく感度の分析も行われている。

金属粉末:WA-SUS316L(平均6.0、D90=10.65、TD=8.05)

バインダー組成:PP:60%、RWL derivatives(密度0.90,融点50℃):40% 2成分

フィードストック組成:粉末60体積%(CPVC:64.8体積%)

試験片:引張試験片形状(寸法不明)

特性値:成形体密度n=3、望目特性SN比、感度(平均値)

制御因子:A:射出温度、B:射出圧力、C金型温度、D:冷却時間、E:射出速度、F:射出時間、G:保圧時間 各3水準 L27

《結果》最適水準の組合せで密度5.10g/ccを達成(最悪条件では4.99g/ccレベル)。確認実験で再現性0.4%以内を確認。制御因子はSN比と感度の両方に影響するので両立する水準を決めている。

参考文献:MATEC Web of Conferences 135, 00038 (2017)Green density optimization of stainless steel powder via metal injection molding by Taguchi method

ことば:CPVC Critical Powder Volume Concentration、CSL(Critical Solid Loading)最大(臨界)粉末量と同義

【珈琲ブレイク】この論文はバラツキを減らす研究(SN比)と、平均値を調整する研究(感度)の両方検討されています。特性値が密度ですが、密度が高くなれば当然、内部不良は無くなり、成形体強度も最大化できるはずです。制御因子はバラツキ改善と平均値調整の両方に影響してしまうのですが、平均値を調整したければ「射出温度」が使えそうだということがわかります。技術的に考えると熱膨張収縮を利用するという事かな?


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