2022年8月5日金曜日

MIM発明者ウイーチの教え

 古い技術誌にRaymond E. Wiech氏の投稿記事(小論文)を見つけた。貴重なのでウイーチ氏の教えをここに記録しておく。

・拡散率は、粒子径の2乗に逆比例するので、収縮および微粉末部の密度の上昇は粉末の粒子径を小さくすると速やかに進み焼結した製品の中に残る穴(ポア?)は小さくなる。射出成形では球状粒子が望ましい。

MIMフィードストックは安全である。しかし、金属粉末は、重量当たりの表面エネルギーが大きいので化学的に活性であり燃焼性がある。粉末の安全策としては、ゆっくり表面に酸化被膜を作り不活性化する。保管はアルゴン中が理想。混合工程は不活性ガスをブレンダーに注入する。

・金型は60℃以上の高温にする。材料約160℃、収縮率(拡大率)1.181、射出圧力はプラスチックより低く、射出速度はプラスチックよりはるかに低くする。***

・シリコン離型剤は焼結品に残渣を残し製品を汚染するので使ってはならない。リサイクルは何回でもできる。

・脱脂法は2種 ①二段法:溶剤抽出(トリクロロエチレン)+炉内加熱脱脂 ②蒸発法(大気加熱一次脱脂のことか???)

・焼結中に脱炭させる設計にする。グラファイト混合も可能。

・普通寸法公差 ±0.3%

・水溶性の例:メチルセルローズ2.0、グリセリン1.0 ホウ酸0.5,水4.5wt%

文献:Raymond E. Wiech,Arnold R.Erickson,合成樹脂 Vol.32 No.8(1986.8)p45-52

【珈琲ブレイ句】当時、MIMに関して誰も深い知識が無いので「粉体爆発が心配」という声が多かったのでしょうか? 粉体の安全性について過剰な安全管理方法を、かなりの文字数を使って提案しています。大量に粉末を取り扱わなければ問題ないと思われます。それでも、拡散率と焼結性の話しは新しい気づきでした。しかし、***成形条件のあたりで多少疑問が湧いてきました。「低く」は「高く」の翻訳ミスのような気がします??・・・。

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