2022年8月20日土曜日

品質工学パラメータ設計事例(タグチメソッド)射出条件最適化

 海外の論文の概要を備忘録として記録する。MIM射出成形条件のパラメータ設計事例である。MIMフィードストックのレシピは、粉末SUS316L(7.93g/cc)、PEG=73wt%、PMMA=25wt%、SA=2wt%でPMMAに若干の溶剤を添加して混錬している。制御因子は、粉末量(63,63.5,64Vol%)、射出圧力、射出温度、金型温度、射出時間、保圧時間、ピストン荷重%である。特性値は、表面品位、曲げ強度、密度である。L18、3水準実験。

《結果・考察》表面品位に対して、金型温度、射出圧力、保圧時間、粉末量はすべて一番大きな水準が良かった。金型温度が高いと、原料表面とキャビティ表面領域のせん断速度が低下するので表面品位が良くなる。曲げ強度(密度)に対しては粉末量が一番多いもの(64Vol%)が良い。平均焼結体密度7.823g/cc(98.6%)、380℃予熱(加熱脱脂?)、1320℃焼結

参考文献: Optimization of Injection Molding and Solvent Debinding Parameters of Stainless Steel Powder (SS316L) Based Feedstok for Metal Injection Molding、Sains Malaysiana 42(12)(2013): 1743–1750

【珈琲ブレイ句】この論文で注目すべきは、粉末量が一番多いものは、表面品位と曲げ強度どちらも最大化できるという事です。やはり、CSLを追求していけばさらに品質が良くなることが期待できます。論文は水脱脂条件の最適化も行っており。水の温度が高すぎると膨張(Swelling)不良が発生し、脱脂時間は長い方が良いが5時間以上やっても同じという内容でした。日本国内でもタグチメソッドや実験計画法を使ったMIM論文が発表されることを期待しています。大規模実験は一見大変そうですが、短期間で技術的知見(因子の有意性、寄与率、水準と特性値の傾向)を得られ、製造条件を最適化することができるのです。

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