【珈琲ブレイ句】MIM焼結体の中に残存する不良として気泡(void)があります。気泡の中身は、真空の場合もありますが、窒素やアルゴン、その他のガスとの複合であると思われます。それを完治させる方法のひとつとしてHIP処理が行われる場合があります。でも、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「HIP処理により、気体が含まれている気泡が完全に消滅するのか?」
答えは「HIPで気泡は消滅する」です。
そのメカニズムは次の通りです。「HIP処理中の気泡は、圧縮され鎖状に分断し、端部に気泡が残り、ガスは母材金属へ拡散(固溶)していき、母材の接合面も拡散し一体化する。*1」
もちろん、気泡の内部が真空であればHIP処理時間を短縮することができるそうです。密度100%、機械的性質も確実に向上させることができるので、ハイスペック品にHIPを採用する事例は少なくありません。全数X線検査を行うのか、HIP処理をしてX線検査を廃止するのか。コストバランスが許せば後者に軍配が上がりそうです。
*1 岩崎ら、”HIP処理による鋳造欠陥の消滅条件と品質改善の効果”、鋳物、第60巻(1988)第1号、26-31