2023年4月17日月曜日

オーステナイトSUS部品だけど錆びやすい?なぜ?

オーステナイトSUS(SUS304等)なのに、短時間で錆が発生することがある。その原因をまとめる。

◆加工誘起マルテンサイト説:二次工程として、大きく変形させる加工を加えると作用部位が局所的にマルテンサイトに変化する。磁石がくっつく。

◆デルタフェライト析出説:クロム炭化物が粒界に析出している。磁石がくっつく。これは、600~800℃で保持したことによる鋭敏化現象である。(固溶化処理を追加すれば鋭敏化は解消できる。)

◆炭素量大過ぎ説:オーステナイト組織でも、炭素が多量に入っていれば錆びやすくなる(CrがCと結合して防錆に寄与するCr原子が減少するため)。主原因はバインダー起因の炭素で、一次・二次脱脂不足の場合が多い。

【珈琲ブレイ句】前にも書いたかもしれませんが、SUS303系ステンレスの焼結後のガス冷を700℃から始めるプログラムにしていました。大きなトラブルは一度も発生しませんでしたが、恐ろしい鋭敏化の可能性もあったのです。焼結後のガス冷は、900~1000℃から始めた方が安全だったと、今さらですが思っています。「なんちゃって溶体化処理」にもなりますし・・・。但しC>0.3%の鋼はNGです。焼きが入るため(硬度が中途半端に高くなる)。

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