2024年3月26日火曜日

ホール・ペッチの経験式とMIM粉末

 ホール・ペッチの経験式は、次の通りである。


珈琲ブレイ句この式の意味するところは、「結晶粒径の1/2乗に逆比例して強度が向上するということです結晶粒径を小さくする方法はひとつは焼結条件の最適化で結晶粒を大きくさせないこと。つまり焼結密度を最大化したらオーバーヒートさせないこと、時間はかかりますが二段階焼結もひとつの方法です。ふたつめは初めから細かい粉末をフィードストックに採用することです

この法則の面白いところは、結晶粒径を小さくすれば強度が上がるのですが、約10ナノメートルより小さくなると逆に降伏強度が下がるところです(Hall-Petch Strengthening Limit)。

MIMの粉末は微細粉末でも数ミクロンですから、結晶粒径も数ミクロンが下限なのでホール・ペッチの経験式「結晶粒径の1/2乗に逆比例して強度が向上する」の守備範囲になります。つまり結論は、MIMの粉末は微細なほど結晶粒界を微細にできるので降伏強度が上がるということです。

《注意》高温クリープ強度の場合は、粒成長を促進させて粒界の量を減らすことを提案する論文もあります。また磁気特性が必要な材料では結晶粒は大きい方がヒステリシス損失を小さくできるので有利など、特性値により選ぶべき結晶粒径の大小は多様です。

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