マグネシウム合金のMIM研究の事例を記録しておく。
《粉末》球状ガスアトマイズMg粉末+球状ガスアトマイズMg+10Ca粉末を混合した「Mg-0.9Ca」粉末
《バインダー》PW,SA+PPcoPE(25wt%)
《粉末負荷》74vol% (バインダー36vol%)
《溶媒一次脱脂》ヘキサン45℃×10~15H
《焼結るつぼ》Mg粉末ゲッターで囲った焼結るつぼ内で焼結
《加熱二次脱脂①②③+焼結④》①~300℃、Ar ②~400℃、Ar+5%H2 ③~635℃真空 ④635℃×64H、Ar
《結果》UTS=142MPa、YTS=67MPa、ε=8 (多孔度:推定4~5%)
文献:Metals 2016, 6, 118 ”Metal Injection Molding (MIM) of Magnesium and Its Alloys”Martin Wolff、Thomas Ebel、 Article in Metals-Open Access Metallurgy Journal · May 2016, Helmholtz-Zentrum Geesthacht, Centre for Materials and Coastal Research, Institute of Materials Research, Division Metallic Biomaterials, Max-Planck Straße 1, Geesthacht D-21502, Germany
【珈琲ブレイ句】Mg合金は生分解性材料としてバイオメディカル用途に非常に適しているのですが、親和性が強いのと蒸気圧が低いのでMIMとして脱脂・焼結させるのが難しい課題があります。本研究からの学びは4つ。
①焼結助剤としてCaを0.9wt%添加するのが機械的特性上最適。
②Mg粉末ゲッターを使ったMgの汚染対策と真空で焼結温度まで二次脱脂。
③Mgの昇華をさせない温度635℃で長時間焼結(64時間)が必要
④バインダーのポリマーとしてポリプロピレンコポリマーポリエチレン(PPcoPE)を使い配合比を25wt%にすることで成形不良(ウエルド等)が減り、機械的特性で有利。
PPとPEの両方の長所を兼ね備えた共重合体高分子ポリオレフィンのポリエチレンコポリマーをMIMへ採用した事例に興味が出てきました。成形性が向上したという報告なので一般MIM鋼でも効果がありそうですね。
(D1956)