2019年1月15日火曜日

『最適化』とはなにか

論文を読んでいると「最適条件」という概念が出てきます。
これは世の中で一番という意味ではありません。
実験の範囲内で「Best」あるいは「Better」という意味です。
すべての条件の組み合わせを実験で行っていない場合は「Better」です。

私が知る最適条件を見つける方法を紹介します。
それは「品質工学・タグチメソッド」です。
その中の「パラメータ設計」が、最適解が求められる手法だと考えています。

富士山が日本一高い。これは三次元空間の話です。
もし 実験条件が2個であれば三次元空間の山の頂上が最適解です。
では 実験条件が3個なら? 4個なら? 
L18直行表を使ったパラメータ設計であれば、
条件(因子)が8個の9次元空間の頂上を教えてくれます。
さらに秀逸なのは、誤差因子を故意に割り付けて
環境バラツキに強い条件を見出すロバスト設計であるところ。
なので、実験の範囲外でも一番になる可能性があるのです。
田口玄一という本物の稀有なる大天才が考えた方法です。
(若い時に田口先生に直接指導を受けたことがあります。
自分が考えた設計プレゼンでのこと、田口先生の質問を理解できず、
石の様に固まる経験をしたことを懐かしく思い出します。
大先生は発想がぶっ飛んでいるので畏敬の存在でした。)

先日MIMバインダーの特許公開の話をしましたが、
同じ銘柄の高分子樹脂でも分子量が異なれば性質も変化します。
最適解世界一を目指す道のりは奥が深いのです。