2020年1月22日水曜日

2020年度 MIM入門講座のお知らせ

4月24日(金) 《大阪開催》
      場所:新大阪近郊会議室 主催:アイ・エム・エー
   『コロナで中止しました』



◆12月某日 《東京都内》中級上級者向けMIM講座
 テキスト付:金属粉末射出成形指南書 (2020/11/1出版予定)


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2020年1月18日土曜日

2回造粒したMIMフィードストックの方が品質が安定する

この論文では評価特性値を変動係数CV*1とし、造粒1回目と2回目、3回目それぞれで成形した試験片で評価している。

【結論】
再造粒を行うと品質(焼結密度、重量減:収縮率)が安定する。2目と3回目の差が小さいので、一回だけ再造粒するのがよい。
「マイクロ射出成形における原料ペレットの均質性とその評価 粉体粉末冶金51-6-2004-6 P435 長田ら」

再生材と新材を混ぜてリユースするMIMメーカーがあるが、目的はこの品質安定だと思われる。

【珈琲ブレイ句】
*1:CV=標準偏差÷平均値  学会論文でバラツキの評価が出てきているのは素晴らしいことです。 
この論文は「混錬時間を長くすれば品質が安定する」ということを示唆していますね。


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多数個取りと再生材の関係を考える

MIMの多数個取りは3キャビティ以上にしないことにしている。その理由は、すべての成形体品質を一定にすることが難しいからである。

なぜ難しいのか、理由は3つ。①MIM成形材料(フィードストック、コンパウンド)の密度が大きい(およそ5g/cm3)ため、重力の影響を無視できない。②金属粉末が多量に含まれているため流動性が悪く、熱伝導率が高いのですぐに固化する。③多数個取りにすることはスプール・ランナが長くなることである。この長い流動区間で上記①と②の影響を受け、やっとキャビティのゲートに到達した時点では、成形材料の温度・流動性が低下し成形バラツキが発生する、保圧も効かない。

これだけではない、ほかにも残念なことがある。それは、スプール・ランナが長くなることで相対的に再生材の量が多くなる。すべて再利用すれば品質が劣化するし、再生材比率を低くして品質を優先すれば、どんどん再生材が溜まる恐れがある。

【珈琲ブレイ句】
ひまわりのように中心からランナが広がるMIMの多数個取金型を観たことがある。すばらしい技術力であると賞賛した、でも担当者は困った顔でつぶやいた数個のキャビティは殺しているんです」。ですよね・・変な安心感。 逆にこんな強者に会ったことがある、彼曰く「キャビティは、原則1個取りです」。


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2020年1月15日水曜日

臨界粉末量「Critical Solids Loading」を知る方法

【珈琲ブレイ句】臨界粉末量「Critical Solids Loading」の定義を復習しておきます。「粒子が外圧なしでできるだけ密に充填され、粒子間の全空間がバインダ―で充填される組成である状態」の金属粉末量です。

私が薦める方法は、「ラボプラストミルを使った混錬トルク法*1」で調べる方法です。それも金属粉末にバインダーを加えていく方法が、クリティカル値(最大値)を発見しやすいです。ある大手フィードストックメーカーもこの混錬トルク法で臨界粉末量(バインダー量)を決めているという記事がありました流石です。

でも、ラボプラストミルを保有していない場合はどうするか、ひとつの方法はグリーン体の密度を測定する方法*2です。さらに、CSLはタップ密度と比表面積の回帰直線で近似させる*3ことができるので、暫定実験で採用することができます。

*1、2、3の詳細は、MIM指南書 3.3.3 CSL測定法に載せています。

2020年1月10日金曜日

新しい着想の脱脂方法がおもしろい

これは新しい着想の脱脂である、考えつかなかった。名付けて「BASF-SS合体法」だ。中国の大学(マカオ大学と深セン科学技術大学)の研究論文がおもしろい。

バインダーの構成材料は、POMSAPWEVAPEである。これだけ見ればSS系バインダーであるが、一次脱脂がなんと硝酸触媒脱脂でPOMを除去し、二次脱脂・焼結をSingle-Step焼結炉で行っている。なんでこうなったのか、必然か偶然か、意図的なのか設備インフラの結果なのか、意図的であれば実に面白い。この研究はTi合金の研究であるので、もしかすると、この脱脂方法にした方が活性金属であるTi合金の機械的性質が向上するのかもしれない。
   PIM International 2019.12 vol.13 No.4 P36

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2020年1月8日水曜日

成形材料の再生材比率について掘り下げた

再生材比率は金型方案に依存するとした。これは再生材比率を、保有する金型の成形品(製品)体積とスプール・ランナの体積の平均比率にすれば再生材の仕掛を最小化できるからである。これは現場的判断であり科学的ではない。そこで、実際はどのくらいの再生比率がよいのか調べた。三菱エンジニアリングプラスティック社の技術データが分かりやすい。ひとつの指標になろう。

もし、再生材比率を30%とすると、再生回数1回で再生材は30%、再生回数2回でその再生材は30%×30%=9%になる。つまり最初の再生材は再生回数のべき乗で減少していき、再生回数5回では最初の再生材は0.2%しか残っていない。

計算値のグラフを載せる。α=物性保持率% γ=再生材比率%
再生材比率30%のとき、物性保持率の低下は僅かであり再生回数2回以降ほぼ一定になっていることがわかる。再生材比率50%での物性保持率は5%低下し再生回数5回以降一定へと飽和する。
《まとめ》
・物性保持率の低下を考えると再生材比率30~50%が現実的。
・古い再生材はべき乗で減少し、30~50%では、ほぼ物性が保持され飽和する。
・気にすべきことは再生材比率を一定(標準化)にすること。
・さらに再生材以外の「ゴミや油」の混入が気になるところだ。
「離型剤を使うことはご法度」であることは言うまでもない。

【珈琲ブレイ句】
このグラフは単なる計算による作図なので、実際の現場で使うには検証が必要です。バインダーが熱履歴で劣化する度合いは使用している樹脂、材料により各社で異なるためです。酸化防止剤の有無も課題になりそうですね。

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