材料投入口の蓋に水滴が付いていたので、犯人は水分であろう。シリンダーの中のPAからでた水蒸気が(体積膨張1200倍)、シリンダー内圧を高め、材料を押し出したと考えられる。対策は、材料を80℃で一晩乾燥させることになった。
MIM材にも樹脂が60VOL%程度使われているので、予備乾燥が必要かもしれない。少し調べてみた。
《材質》 《吸水率のめやす》
PP 0.02%
PE 0.04%
PS 0.08%
POM 0.22%
PMMA 0.30%
PA 3.5%
結論:POMを多量に使う触媒脱脂法フィードストックでは、予備乾燥を検討した方がよさそうですね。実際どうなんでしょうか? *1
また、配合量は少ないが、3-STD法フィードストック(POM系、PMMA系)も、場合によっては必要であろう。
予想される問題:加水分解すると分子量が低下し粘度が下がる。成形体内部に水蒸気気泡が残る、気泡が潰れ微小ウエルド、その部分は焼結で拡散接合しないので強度低下。
*1 BASFの技術情報に記載されていた。
乾燥条件は、乾燥空気で100℃*2H または 真空化80℃*1H ただし、水分の付着がひどい場合は完全に戻らない場合がある。バージン材の保存期間は2年間。封を開けたら密閉管理をすること。
【珈琲ブレイク句】
そういえば、臨界粉末量を求めるトルク実験で、数年前にサンプルでもらったPOM系バインダーを使ったとき、計測中の短時間で混錬トルクがどんどん低下していく経験がある。この原因について、仮説がひとつ増えた。あらたな仮説:保管の密閉が悪くPOM系バインダーが吸湿していたため、混錬で分子量が急激に低下した。ちなみにもう一つの仮説は、樹脂のラジカル連鎖による分子量低下。結局同じかも??