2021年2月5日金曜日

チタン合金(6-4)MIMとラメラ組織

 6-4チタン合金の組織は、長い針状粒子が並んだラメラ組織(パーライト組織)である。しかし、MIMのような粉末冶金の場合、ラメラ組織に成長させる前の球状化組織にすることができる。そのメリットは、組織を針状ではなく球状にすると機械的性質を最大化できるところである。

プラズマアトマイズ粉末のAP&C社による研究論文からの学び。(20μ粉末、UTS≒1000MPa, 伸び≒26%,粒子サイズ≒20μm,密度≒98%)

◆ポイントは約1000℃のβトランザス(β変態温度)◆焼結温度1050℃でUTS(引張強度)& 密度最大化 ◆焼結温度1050℃が粒子サイズ(grain size)微細限界 ◆微細粉末20μアンダーが良いが、40μアンダーでも炭素を1%添加するか、初めからTiCを5%添加すると、球状化させることができる


【珈琲ブレイ句】国内の研究事例で秀逸なものとして、九州大学による6-4チタン合金の研究*1があります。機械的性質は、UTS=910MPa,伸び=14% で優秀です。この実験はMIM用脱脂焼結炉でヒーターとタイトボックスに黒鉛を使っており、「黒鉛炉」でこんな結果が出るのだと驚いたものです。当然、工夫としてMo容器とスポンジチタンで浮遊する酸素と炭素を遮断(吸着、ゲッター)しています。でも、上記研究を知ると、もしかすると炭素を遮断しきれず焼結体に炭素が侵入することで、機械的性質にプラスに働いた可能性がある?かもしれないと思ってきました。ちなみに,上記の「炭素1%およびTiC5%添加」は,AP&C社が特許出願しているようです。

*1 三浦秀士,竹増光家,栞野友紀,伊藤芳典,佐藤憲治:”Ti-6Al-4V射出成形の焼結挙動と機械的性質”,粉体粉末冶金53(2006)815-820

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