異方性収縮の原因は5つ:①成形流れ方向と冷却速度 ②ポリマー配向 ③金型拘束 ④内部応力 ⑤圧力勾配 である。さらに、これらはキャビティ方案に左右される。例えば、⑥肉厚の差、⑦流動流れ方向の長さや幅、⑧ゲートの位置との関係など
理論通りに収縮しない理由:《成形》成形材料が弾性体であるため射出圧(保圧)により成形収縮が異なる(PVT曲線)。狭いキャビティ空間では粉末とバインダーが分離するため局所的にバインダー量が変動する。《焼結》炉内温度バラツキ、重力、摩擦力など
設計標準化のアイデア:①転写性(品質工学)研究から標準収縮率を決定する。そして②異方性収縮は形状係数として設計段階で補正できるように独立させて標準化する。さらに、これらを③成形収縮(バインダー別)と焼結収縮(材質別)を独立させて標準化すれば、初めての材種に対しても計算で収縮率を推定することができる。
文献:MIM指南書、金属射出成形ガイドブック 2.3.1設計標準としての収縮率 P32-38
【珈琲ブレイ句】この標準化のためのデータ収集は、試作されたMIM焼結体が完璧に成形され、バラツキなく焼結されていることが前提です。しかし実際の現場では次のようなミスが発生します。成形重量が軽かった(保圧不足、離型を確保するため)、成形材の再生材配合比が間違っていた。そもそも金型寸法がズレていた(時間がないので受け入れ検査を省略した)などなど。現場で起こる不適合による品質変動は千差万別です。それを考慮しながら、異常値を捨て有益な情報だけで標準化できる技術者がカッコいいのです。