2023年1月10日火曜日

MIMフィードストックの流動性を掘り下げる②

 【珈琲ブレイ句】各種あるMIMフィードストックの性格に対してどのように付き合っていけばよいのでしょうか? 中学数学の知識で理解してみましょう。

MIMフィードストックは擬塑性流体です。これは次の流れの式のべき乗指数nが1より小さいものです。(n:Flow Behavior Index 流動挙動指数, Shear Sensitivity せん断感度)

η=Kγ^n-1 、η:見掛け粘度(poise)、γ:せん断速度(1/s)

これを対数の世界に直すと

logη=(n-1)logγ+logK  となり

これは中学2年で習う y=ax+b の形なので

(n-1)が「傾き」、logKが「切片」ということです。

ここで、nが1より小さいということは 傾き(n-1)がマイナスになるので右下がりの直線であることが分かります。nが相対的に小さくなると傾きが大きくなるので、せん断速度に対する粘度依存性が高くなります。また、粉末が細かくなるほどnは小さくなる傾向*1があり、粉末と結合剤が分離しやすく、スリップフローが発生しやすいと言われています。成形材料としてはnは大きい方がよいとされており、量産実績のあるMIMフィードストックのnは0.3~0.5程度でした。

一方切片であるlogKは、全体的な粘度の傾向を示しています。これは温度に依存し成形温度を高くすればLogKは下がり、全体の粘度も下がっていきます(成形が容易になる)。

*1参考文献:RHEOLOGICAL PROPERTIES OF SS316L MIM FEEDSTOCK PREPARED WITH DIFFERENT PARTICLE SIZES AND POWDER LOADINGS、Sri Yulis M. Amin , Khairur Rijal Jamaludin, and Norhamidi Muhamad、Journal - The Institution of Engineers, Malaysia (Vol. 71, No.2, June 2009)

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