タグチメソッドを使った実験論文を記録する。規模は小さいが3水準の実験L9(3水準、4因子)である。
粉末:Ti-6Al-4V(平均粒径18μm)ドイツTLS Technik製、粉末量65Vol%
バインダー:パームステアリン60wt%、PE40wt%
一次脱脂:ヘプタン60℃×6時間 二次脱脂:550℃×4時間
焼結:真空9.5×10^-6 mbar(9.5×10^-2 Pa)
《特性値》引張強度(望大特性)、L67×t2.7の引張試験片
《因子と水準と結果(特性要因図)》
焼結温度:1200、1250,1300 ℃(上凸、左肩上がり)
保持時間:60,120,180 分(左肩上がり)
昇温速度:3,4,5 ℃/分(下凸、右肩上がり)
冷却時間:180,240,300 分(上凸、右肩上がり)
《結果、分散分析》F検定で有意なものは 焼結温度のみ。(本来、田口メソッドではF検定は行わない要因効果図だけでOK、ANOVAも不要!と田口博士本人がおっしゃっていました。)
《確認実験》すべての最適値、焼結温度1200℃、保持時間60分、昇温速度5℃/分、冷却時間240分における結果は、引張強度934.33MPa、密度4.36(97.75%)、収縮率12.27%、伸び12.14%、酸素0.00302%、炭素0.056%、窒素0.00004%
文献:“Sintering Parameter Optimization of Ti-6Al-4V Metal Injection Molding for Highest Strength Using Palm Stearin Binder” ,N.H. Mohamad Nora , N. Muhamadb , A.K.A Mohd Ihsanb , K.R. Jamaludin,Malaysian International Tribology Conference 2013 (MITC2013)
【珈琲ブレイ句】この実験からの気づき。焼結温度が高すぎると引張強度が低下すること。さらに保持時間も長いと良くない。たぶんミクロ・マクロ組織の研究があれば考察できたでしょう。残念ながら二次脱脂と焼結の詳細な条件が不明でした、おそらく不活性ガスで二次脱脂、焼結は油拡散ポンプ仕様だと思われます。すばらしいことにASTM B348-02の規格をすべてクリアーしています。それと収縮率が12.27%というのは凄いですね。