【MIM技術伝道士の深すぎるブログ from 2017】 20年間体で覚えたMIM(金属粉末射出成形)製造技術と技術書や論文で学んだMIM理論やMIM最新情報、さらに金属AM(MIM-Like AM、SBAM分類のMEX、BJT等)情報をわかりやすく解説しています。
2023年11月26日日曜日
MIM製Ni基超合金の実力をチェックする②
2023年11月22日水曜日
MIM製Ni基超合金の実力をチェックする
Ni基超合金のMIM(INCO713+α)のクリープ破断特性を精密鋳造の世界と比較する。
SC:単結晶 DS:一方向凝固 CC:普通鋳造参考文献:①ロストワックス精密鋳造法(産業図書)P149、 ②MIM: アテクト特開2020-56106【表1】
【珈琲ブレイ句】MIM製Ni基超合金が実用化され始めました。どのくらいの実力なのか? その実用化されたMIMのクリープ破断特性データをロストワックスの世界に重ねてみました。結果は、まだまだ頑張ってほしいレベルであることがわかりました。
DCやSCはジェットエンジン用なのでMIMが活躍することはありません。CCは精密鋳造(LW:ロストワックス、真空鋳造LW)のことですがMIMが戦うべき土俵になります。でもなぜ、MIMのクリープ破断特性はこんなに低いのでしょうか? それは、「結晶組織の大きさの問題」だと推察されます。結晶粒は大きい方がクリープ強度が高くなりますが、MIMは粉末冶金なので製法的に元々結晶粒を大きくしづらいのです。鋳造は冷却凝固の制御で結晶粒を大きくできるし、なんといっても究極はSCの単結晶になるのです。
MIMは粉末冶金であるという製法的特徴を知り、いかにCCと戦うかを考える必要がありそうです。MIMの長所はニアネットシェイプ形状、中空化、マイクロ化ですね。
*MIMはHIPが前提です。密度は99.97%に達し、引張強度はCC(ロストワックス)に肉薄してきます。カーボンの少ないINCO713LCの方が若干引張強度に有利で、残留炭素などに影響する脱脂工程の最適化が重要になるようです。
2023年11月4日土曜日
マイクロMIMとその成形機について考える
マイクロMIMとは:微細金属粉末(D50、3μm)を使用し、全体の代表寸法が数mmで5mmの公差±0.01mm、局所寸法数十~数百μm、重量は数百μg、表面あらさRa0.35、相対密度98.5%のものが代表値のひとつである。
マイクロMIM用成形機:プランジャ径(バレル内径、シリンダ内径)<Φ10mmのプリプラ方式(2段スクリュープランジャ射出成形機)。代表例として「Battenfeld の Micro Power 旧:Microsystem 50」「BabyPlast 6/10P」等
《関連ブログ》国産超小型射出成形機μMIV-2の基本仕様
【珈琲ブレイ句】”マイクロMIM”といっても0.001mmオーダーの大きさではなく数ミリで、マイクロのイメージより結構大きいのです。この”マイクロ”は”極小”の概念で使われているようです。*1
通常MIMで使っている射出成形機でマイクロMIMは成形できないのでしょうか? 答えは「通常の射出成形機でマイクロMIMは成形できます。」でもいくつか問題があります。
①スプルー・ランナがマイクロMIM成形体の体積と比較してメチャクチャ大きくなる。(ランナの先端にできた成形体は、”バリ”なのか”製品”なのか区別がつかないほど歩留まりが悪い。)
②キャビティ薄肉部の流動性が悪いので、高速射出が必要になる。*2
③その射出量(計量値)を大きな成形機では正確に制御できない(シリンダー断面積が大きいため)。
④流動性を向上させるために金型温度を高温側へシフトさせる傾向*1があり、大きな金型の場合、昇温降温(ヒートサイクル制御)に時間が掛かりすぎる。
従って、マイクロ用射出成形機はシリンダー径をΦ10mm(Φ5,Φ8)以下にして射出量を正確に管理し、小さな金型に高速で射出成形するのです。シリンダー径が小さいので普通のインラインの様な3ゾーン(供給、可塑化・圧縮、計量・混錬)が造れないため、可塑化を2段スクリュー(プリプラ+計量シリンダ)で行うのです。
近年 Arburg社から、新しいマイクロ用射出成形機が発表されました。 モジュールは、Φ8 mm 射出スクリューと材料を溶融するための 2 番目のスクリューを組み合わせた革新的アイデアで、材料の先入先出しを実現させたものです(材料溜まりの熱劣化問題が発生しない)。射出スクリューにちゃんと逆止弁が付いているのが素敵で可愛いです。
*1:スイスのMIMメーカーParmaco社では、マイクロMIMを「重量が 1 g 未満で、特に微細な機能を備えた部品」と分類している。また「マイクロMIM 部品の製造には従来の MIM 部品と大きな違いは無いが、通常は再加工が不可能なため、マイクロMIM 部品は焼結後にすぐに使用できるようにする必要がある。」との指標を持つ。
*2:MIMフィードストックは、高速射出になるほど粘性が下がる擬塑性流体である。また温度依存性が高い。「MIM指南書 金属粉末射出成形ガイドブック」P92