MIM製多孔質チタン合金の製造方法と用途のポイントをまとめる
《多孔質MIMの製造方法は2つ》
①スペースホルダーを使う方法 スペースホルダー材質:PMMA、NaCl、KCl 、 スペースホルダー除去法:水溶解、加熱分解
特徴:母材は高温焼結で最高密度が可能。ポーラス形状が異形あるいは球形。パウダースペースホルダーで数ミクロンの球形ポーラス可能。
②スペースホルダーを使はない方法 制御因子 ①粉末粒径** ②焼結温度** ③粉末形状*
事例:D50 = 100μm、1000℃焼結、多孔度74 % 、焼結密度1.24g/cm3、C0.03%、O0.27%
《多孔質MIMの特徴》
・ポーラス金属は多孔質で軽量、比表面積が大きい。
・金属の熱・電気伝導性と高い力学的特性を持つ。
・マイクロオーダーの気孔を持つポーラス金属は、多様な機能性部品への応用が期待される(フィルタ、電極、インプラント、ヒートシンク、熱交換器など)。
・ポーラス金属の製造方法は多いが、気孔径が大きいものが多い。
・多くは単純形状素材で二次加工が必要である。そのためネットシェイプでのMIM量産が期待されている。
《多孔質MIMの用途》
・マイクロオーダーの気孔を持つポーラス金属は、多様な機能性部品への応用が期待される(フィルタ、電極、インプラント、スキャフォールド、ヒートシンク、熱交換器など)。
【珈琲ブレイ句】多孔質MIMの製造方法は、スペースホルダーを使う方法が良いと感じます。理由は、①焼結温度に対するロバスト性が高い(焼結機能窓が広い)からです。スペースホルダーを使わない方法は、「焼結を途中で中断して気孔率を管理する」方法なので、炉内温度バラツキに影響を受ける可能性が高いのです。一方、スペースホルダーを使う方法の焼結条件は母材の最適温度(焼結機能窓)で作られるので品質(引張強度、気孔率)が安定するのです。②さらに、気孔の形状はスペースホルダー形状の転写で、数(気孔率)はスペースホルダーの添加量でコントロールできます。
PS.スペースホルダーの除去方法ですが、塩(NaCL)は水で溶解させる方法が一般的ですが、ある大学では加熱分解で除去しておりました。塩の融点800℃、沸点は1400℃なので二次脱脂後に液化流出して、焼結中に蒸発している感じですね。炉内汚染は大丈夫かな??