2021年8月12日木曜日

なぜMIM-Like AMはMIMの機械的性質を超えられないのか

 なぜMIM-Like AMはMIMの機械的性質を超えられないのか

その答えは ◆粉末床を利用するAMでは、粉末の嵩密度に限界があるから。嵩密度が低ければ粒子間距離が広くなる。粒子間距離が広ければ収縮率が大きくなり拡散収縮で粒子の移動も起こり精度が落ち、内部欠陥も残りやすい。また、◆溶融積層方式などのAMでは、MIMのフィードストックに近い材料を使っているので粉末量を多くすることができる。しかし、「積層技術由来の技術的要因」でバインダー量を多くする必要がでてくる。バインダーもMIMより軟化させる方向で設計される。一方、◆MIMは「積層技術由来の技術的要因」に囚われることなく、技術的に独立して「臨界粉末量CSL(Critical Solid Lording)」を目指すフィードストックの設計ができる。バインダーの組成も自由だ、結合剤のみで構成されたものも実在する(成形に技術が必要ですが)。また、成形も独立して最適化が可能で、高圧射出成形で「保圧」をかけて内部欠陥の無いGreenを造ることができるからである。

【珈琲ブレイ句】しかしMIM-Like AMも頑張っているのです。最近の報告では、Ti6Al4VのFDM方式の焼結体(HIPの有無不明?)で、引張強度845MPa、伸び17%を達成しています。参考:JPMA S01規格、引張強度=800MPa、伸び=5%

注意:Arcamの積層体はMIMやLWより高い機械的性質がありますが、これは「焼結」ではなく、高真空中の電子ビームによる「溶解」だからでMIM-Like AMの粉末拡散技術とは別世界のダイレクト積層技術です。粉末1個づつ溶かして速攻で冷却固化させる感じで、勝手に名付ければ「マイクロ鋳造積層体」というところでしょうか。金属AMの最高峰、凄い技術です。

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