MIMではないが、品質工学(タグチメソッド)によるHibrid Investment Castingの概要を記録する。ハイブリッド・精密鋳造は、3Dプリンター(MEX,FFF,FDM)で造形したモデルを使ったロストワックスである。
《実験計画》特性値:表面あらさ(望小特性)、L18直交表の6因子:プレワックスコーティング有無(熱風加熱後100℃の溶融ワックス槽に浸漬)、3種モデル、積層方向、積層密度、スラリーパターン濃度、鋳型厚さ、鋳込み材料(SUS3種)
《実験》MEX:層厚0.25mm、ABSプラスチック、鋳型焼成1080℃
《結果》有意性が大きな因子は、ワックスコート有り、積層回転角0度の2つ。他にスラリーパターン密度が低いものに若干効果が読み取れる。最適条件での確認実験で再現性が確認される。(表面あらさ1.6Ra)
【珈琲ブレイ句】MIMと関係ないのですが裏の専門が精密鋳造と品質工学なのでワクワクして読んでしまいました。◆論文から読み取れる細かいポイントは、鋳型が薄いと焼成鋳型が割れること、逆に鋳型を厚くし過ぎると湯回り不良(鋳型の通気性悪化)が発生することです。またワックスコートは鋳型割れ対策に有益とあります。実体験からもその通り!納得です。◆今回は市販のFFF装置で作った3Dモデルなので、材質がABSになっています。おそらく大気焼成であれば相当鋳型内に灰分(煤)が残留するので積層材料の改善は必要になるかもしれません。◆同じコンセプトの2つの商品とメーカーの名前だけ紹介しておきます。「そっくりCAST:JUKI会津」「デジタルキャスト:CASTEM」
参考文献:Rupinder Singh,Parlad Kumar, ”Effect of process parameters on surface roughness of hybrid investment casting" Prog Addit Manuf(2016)1:45-53