【珈琲ブレイ句】高密度超固相線液相焼結についてメモしておきます。SLPS(Super solidus liquid phase sintering)は、ホウ素(ボロン)を少量添加すると固相と液相間の温度巾(焼結ウインドウ)が広くなり焼結温度が低温側にシフトし急速に高密度化するものです。
ジャーマン先生の論文*1では、SUS316LにBを0.2wt%添加で、液相と固相温度巾が200℃まで拡大しています。
武川先生の論文*2ではSUS316Lに0.4wt%のB添加で1160℃から焼結が進行し1180℃で相対密度98%を超えています(WA平均8.5μm、大気加熱脱脂、H2雰囲気焼結)。注意:B添加材は、大気加熱脱脂でBの酸化があるから注意せよとあり、さらに、大気中の窒素との反応もある(BN化)と思われるので、脱脂はアルゴンか水素ガス中が良いと思われます。
2部品を一体化するMIM製法、Co-Injection molding(共射出成形、同時射出、オーバーモールディング)で、このSLPSが応用されています。界面結合特性が改善されるためだと思われます。ジャーマン先生の論文*3では0.5wt%のBを添加したSUS316LとM2(工具鋼)の焼結緻密化挙動がほぼ一緒になり、2部品一体化MIM品の接合面は拡散が進行し機械的性質も優れています。
*1 ジャーマン先生 "Master sintering curve concepts applied to full-density super-solidus liquid phase sintering of 316L stainless steel powder"
*2 武川淳二郎 "B元素微量添加SUS316L鋼粉の射出成形"
*3 ジャーマン先生 "Defect-free sintering of two material powder injection molded components"