【珈琲ブレイ句】アメリカ合衆国におけるMEX溶融積層FFF用のBASFフィラメント(Ultrafuse)に関連する技術とビジネス情報をそのままメモしておきます。 多少の疑問もありますが、最後の「脱脂焼結サービス」というビジネスモデルがいいですね。これが日本でも流行れば、もっとMetalAM(MEX)の理解者が増え、その先にあるQCDで有利なMIMの利用者がさらに増える近未来が見えてきます。脱脂焼結の一回無料券は魅力ですよね。 日本のMIMメーカーにも、ビジネスモデルを更新するチャンスが来ていると思うのです。トップダウンのMIMメーカーはすでに更新中ですね。
《フィラメント》金属含有量80%以上、直径1.75mmと2.85mmの2種類、厳しい公差が求められる場合はニアネットシェイプ加工(例えば焼結後にねじ山を切る必要)が必要。
《材質》316Lと17-4 PHの2種類
《3Dプリンター》印刷には、密閉された加熱チャンバーと少なくとも100℃まで加熱可能な加熱ベッドを備えた3Dプリンターの使用を推奨。印刷ベッドはガラス製で、Dimafixベッド接着剤の仕様を推奨。
《積層条件》加熱ベッド温度: 100 - 120℃、ホットエンド温度: 215-235℃、ノズル径: 0.4mm、ノズル材質:硬化鋼、部品冷却なし:レイヤー冷却により印刷中に反りが生じる可能性有り、推奨レイヤー高さ: 0.10 - 0.25mm [高密度の場合は0.15以下]、推奨速度: 15 - 40 mm/s、充填: 100% 、最も均一でしっかりとした充填を実現するために、形状に応じてラインまたは同心円パターンのいずれかを推奨。充填物に隙間やボイドがあると、脱脂および焼結プロセス中に不具合が発生する可能性がある。
《部品設計ポイント》片面を平坦にし、部品の厚さが均一になるようにすることを推奨。薄肉やオーバーハングは避ける。部品の体積は100mm³以内に収める。高さと幅の比を3:1未満にすることで、脱脂および焼結中の部品の崩壊を防止できる。部品の拡大率は、X/Y方向で最終寸法の+120%、Z方向で+126%。
《形状サポートについて》オーバーハング角度が45°を超える場合はサポートの使用を推奨。サポートと同じ材料を使用(サポート充填構造は密度が約70%である必要がある)。サポートは、グリーンパーツの状態でも焼結後でも取り外すことができる。グリーンパーツからサポート材を取り外す前に、脱脂と焼結の戦略を検討する必要がある。
《脱脂・焼結》脱脂は、気化硝酸を用いる触媒脱バインダープロセス。市販の焼成炉を用いて純水素環境で焼結。
触媒脱バインダーは、数百℃程度の温度でガス状の酸雰囲気下で一次ポリマーを分解。BASFプロセスでは、120℃、硝酸濃度98%以上で脱バインダーを行う。50リットルの脱バインダー炉を基準に、硝酸供給量(通常30ml/h)とパージガス供給量(500l/h)により安全な処理が実現できる。反応生成物は天然ガスの炎で600℃を超える高温で燃焼され、成形体は完全に脱脂体となる。脱バインダー損失が10.5%未満に達した時点で、脱バインダープロセスは終了する。これは、このプロセス全体のために特別に設計された密閉型制御システム内で行われる。
脱脂体は次に焼結工程へ送られる。焼結とは、脱脂体に残った金属粉末を熱によって固体金属に変える工程である。特別に設計された炉では、金属の融点よりわずかに低い温度に設定され、脱脂体から二次バインダーを除去し、その後、金属粒子が融合される。
焼結は、100%クリーンで乾燥した水素雰囲気で行う必要がある。典型的な焼結サイクルは、次の条件である。① 室温 - 5 K/分 - 600°C、1時間保持 ② 600°C - 5 K/分 - 1380°C、3時間保持 ③ 炉内冷却
《焼結密度》316L: 7850 kg/m³ / 490.1 lb/ft³ 、17-4 PH: ≥ 7g/cm³
《脱脂焼結サービス》出力した部品は、脱バインダーと焼結のためにサービスプロバイダーに送る必要がある。部品を出力・洗浄し、郵送して、予定された処理後に返送されるのを待つ。現在、部品は月に2回処理されている。
《フィラメント価格(USD)》Ultrafuse 316L 1.75mmまたは2.85mm 3kg:465ドル、Ultrafuse 17-4 PH 1.75mmまたは2.85mm 3kg:349ドル 1kg:129ドル(価格はmatterhackers.comより)
《価格設定(USD)》フィラメント1スプールには、Ultrafuseで3Dプリントしたグリーンパーツ(最大1kg)の脱脂・焼結1回分に相当する処理チケットが1枚無料で付属している。追加の処理チケットは50米ドルで購入でき、同じ条件が適用される。パーツは北米ではDSH Technologies、欧州ではElnik SystemsとAMPC Solutionsで処理される。DSH echnologiesに直接脱脂・焼結サービスを依頼した場合は、1サイクルあたり1,500ドルの料金がかかる。