2026年6月8日月曜日

技術コンサルタントがネガティブに感じた事例⑥ 「勝手にVE提案はNG」

【珈琲ブレイ句】技術コンサルタントがネガティブに感じた事例の6回目です。精密機械加工メーカーでの日帰りコンサルティングの回想です。

《状況》機械加工メーカーの社長から見せられたA部品は、鋼材から削り出された小さな複雑形状部品でした。これをMIMにした時のコスト見積を依頼されました。

私は、MIMに携わる前、生産技術を10年間経験しているので、すぐに「MIM素形材を使った追加工」の工程設計を頭の中で描き始めました。どこを加工基準にするのか、捨てボスをどこに配置すべきか、ゲートは捨てボスにつけて……など。

加工設備によって工程設計は変わるため、工場見学をお願いしたところ、なんと断られてしまいました。そこで社長の真の目的が、この「削り出し部品を、そのままMIMに置き換えたい」ということだと分かり、驚愕しました。

機械加工の精度はIT7等級以上です。一方、MIMの精度はIT10等級が限界です。MIM部品への追加工なしでA部品が完成するはずがありません。

さらに驚いたのは、社長が「勝手に機械加工品からMIMへの置き換えができる」と考えていたことです。当然、顧客への「工程変更申請」が必要ですし、それが承認されるまでには数カ月はかかります。

ISO9001認証工場でありながら、この社長のコンプライアンス感覚は「ヤバイ」と感じ、申し訳ないけれど早々に退散しました。

【BLOG目次】

【MIM指南書】

【MIM技術伝道士HP】