MIMは、最終製品寸法に非常に近いニアネットシェープ(near net shape)である。MIM精度向上は継続すべき重要なテーマであるが、現在のMIM精度は、IT10等級レベルである。
それ以上の製品要求精度(嵌合はめあい等)を実現するためには、二次加工が必要である。例えば「変成形加工」「除去加工」などである。
そこで問題になるのは、加工する程度(量)をいくつにするかである。
それは、「転造代、プレス代」「加工代、削り代」などである。
今回は、削り代について考える。JIS-B-0403 鋳造品の一般公差方式及び削り代 の考え方は次の式である。
基準寸法(素材寸法)=仕上がり寸法+RMA+CT/2
仕上がり寸法:製品完成寸法
RMA:要求する削り代(たぶんRequired Machining Allowance)
CT:公差巾
ちなみに、上記JISのロストワックス精密鋳造におけるRMA(等級A)は次の通りである。
最大寸法 RMA(等級A)
40以下 0.1
40~63以下 0.1
63~100以下 0.2
100~160以下 0.2
MIMは鋳造品の様な抜け勾配が不要なのでRMAは小さくてよいはずだ。どのような設計標準にするかは各社に任せたい。JISにMIM用のRMAは無い。注意:RMAは、小さい方がよいが、発想として偏らず、捨てリブや捨てフランジなど積極的に大きな加工代(部位)を設ける柔軟さが望まれる。
◆MIM公差MTと削り代RMAの参考提案を「MIM指南書 金属粉末射出成形ガイドブック、P41 表2.5」に載せました。2020/11/1