SS系バインダーは、なぜ1工程で脱脂・焼結ができるのか。
理由は、熱分解温度が異なる(100℃以上離れている)3つのワックス・バインダーグループで構成されているからである。クラスごとにキッチリ順番を守って駅の改札を抜ける幼稚園児の遠足のような感じである。バインダーの組合せに何を選ぶのか、POM、PMMA、PP、PEなど、POMは変形に強いが相溶性が悪い、PEは相溶性が良いが強度が劣る。どこかで妥協が必要である。また、残念ながら、成形体の厚さが5mmを超えてくると、バインダーが残存して炭素として残る傾向があるので炭素鋼には注意が必要である。そのためか、SS系バインダーであるが脱脂工程を分けているところもあるようだ*1。こうなるともう「シングル」ではない。
【珈琲ブレイ句】
*1 脱脂時間を長くすれば1工程は可能です。ただし、高価なSHIMADZU炉を24時間サイクルで稼働させたいので、泣く泣く脱脂工程の前半を安価な脱脂炉に分担させる策だと考えられます。本当に小さなものは、12時間サイクルで脱脂焼結する構想(1電源2炉)もありました。恐るべし。
SS系バインダーの呼び名を次の様に改名します。2020/06/24
三段階順次熱脱脂法(Three-step sequential thermal debinding)
略称名:3-STD法