2021年9月9日木曜日

なぜ混合粉末はバインダージェットAMに使えないのか

 ◆バインダージェット方式の3Dプリンターには、合金粉末が使われている。一方、MIMでは、合金粉末と混合粉末*1 の両方使っている。◆ではなぜ、バインダージェットでは合金粉末だけなのか? 推定する理由は2つ。◆①、多種の粉末を混ぜ合わせたときに、均等性が維持できないためである。混合粉末をミキシングで完璧に均等にしても、その混合粉体を流動させると均等性が崩れる(偏る)ためである。なぜ偏るのか。日常のもので例えると、「ゴマ塩」を使っていると容器の上方にゴマが集まるのと同じ理屈である。密度と粉末の大きさにより相対的浮力差が発生するからである。これをコントロールするのは技術的に可能であるが実用的に難しい。◆②、カルボニル鉄粉CIPは微細粉末なのでそもそも粉体流動性が悪い。そのため粉末床に、かさ密度の高いレイヤーを敷くことが技術的に難しい。◆一方、バインダーで粉末を混錬した材料を使うタイプのMIM-Like AMであれば、これらの現象は大幅に改善できる。ただしバインダーが多く、粘度が低い場合は攪拌が必要になる。

*1 例えば、カルボニル鉄粉CIPを基材として、粒度の異なるNiやCrを添加した混合粉末、マスターアロイをCIPで希釈するもの(平均径:CIPは5μm程度、マスターアロイは10μm程度)等。

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