2021年9月5日日曜日

MIM焼結体の炭素減少はCOなのかCO2なのか

 MIM焼結中において、還元反応により粉末の初期炭素量は減少する。それはCO反応なのか、CO2反応なのか。ある論文にデータ(溶媒脱脂、窒素雰囲気中で焼結)を見つけたので、両方で焼結後の炭素量を推定してみた。(前提条件:初期酸素量はすべて還元反応で消費される。)

【結果】は下記表の通り・・・・論文ではCO2反応として説明し、推定値が大きく外れているT15は例外としている。一方、CO反応の推定値ではT15はかなり近い値になっている、また例外なく全てのデータに相関があるように読める


【珈琲ブレイ句】この論文がCO2反応で説明していることに違和感を覚えたため、自分でCO反応の計算をしたものです。私の経験ではCO反応が支配的で量産品とよく一致していました。上の実験データで残念なのは「焼結体の酸素量が不明」なところです。「還元反応に使われた実酸素量が計算できないので、この推定値は正確ではありません。また、溶媒脱脂を行っているので、残留炭素は極少のはずですが、焼結炉内の炭素系コンタミとバインダー由来の微量炭素が焼結体に存在している可能性があります(例えば△C=0.05くらい)。さらに、なぜ、T15だけ全体傾向から乖離しているのか仮説をひとつ・・・・「溶媒脱脂品ブラウンパーツを長時間が室内に置いていた。そのため錆びが発生し、原料粉末より酸素量が増加した。」なぜなら、炭素が多いと錆びやすくなるし、ブラウンパーツはスポンジ構造体なので、さらに錆びやすいため。

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