2022年6月9日木曜日

【MIM指南書(増補・セルフ)】気泡 への追記 

 【MIM指南書(増補・セルフ)】P174 5.14

5.14 気泡 原因3のCOガスに対する対策として下記を追記してください。

【対策】9 Ar雰囲気分圧焼結の圧力を下げる。ただし、Cr等の蒸発に注意(P138)すること。また、関連P142参照のこと。

∵WA-SUS316L(D50=8μm)、焼結Ar雰囲気の分圧を大気圧に設定したときと5Torr(666Pa)の時では、焼結体内に残留する気泡(COによるもの)は、5Torrの方で激減していた。これは、COガス圧力と雰囲気の圧力差が大きい程、焼結体(閉気孔生成期)からCOガスが抜けやすいため。


【珈琲ブレイ句】上の対策の前にやるべきことがあります。それは、MIM部品の肉厚を薄くするスマート設計です。肉厚が薄い方がCOガスは物理的に抜けやすくなるのです。部品のリブ構造化、肉盗み追加等の形状設計が重要です。一方、この論文は次のような副作用を示唆しています。それは、「内側の細孔に閉じ込められたCOガスは、冷却中にシリコン、クロム、鉄などの金属元素で再酸化される。それは、結晶微細化に貢献するので、これらの金属酸化物がなくなると、深刻な粒子成長を引き起こす可能性がある。」というものです(なるほど!でもほんとうかな?)。しかし、一般のSUS316Lで結晶粒子サイズが要求仕様に登場することはほとんどないので、副作用は気にせず焼結密度が上がる方向の上記対策は、お勧めです。

《参考文献》JIN MAN JANG ,WONSIK LEE, SE-HYUN KO , CHULWOONG HAN , HANSHIN CHOI:“OXIDE FORMATION IN METAL INJECTION MOLDING OF 316L STAINLESS STEEL”, ARCHIVES OF METALLURGY AND MATERIALS Volume 60 2015 Issue 2

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