2022年10月9日日曜日

射出圧縮成形はMIMに使えるのか?

射出圧縮成形とは、射出成形において金型型締め動作を利用し、射出完了直前のタイミングで金型キャビティを加圧する射出成形と加圧成形の複合技術である。CDやDVDの微細形状の転写に使われている。特徴は次の通りである。円板で中央ゲートの成形体の実験*1の場合、一般射出成形と比較して金型内圧の平均は約半分になり、さらに分布が均一になる。そのため、成形収縮率も均一になり成形体(円板)の肉厚が均一になる。

【珈琲ブレイ句】MIMで使いたいと考えている技術のひとつです。それは本来の目的と違うのですが、製品設計でどうしても対策が打てないときの最後のアイデアです。その課題とは「ゲートフリーズする肉厚品のヒケ防止」で、その対策に射出成形圧縮が最後の対策手段に成りえます。具体的には、保圧の代わりにキャビティの一部を加圧に使う局所加圧というアイデアです。他の効果としては「ガス逃げ」の作用は絶大なので、ガスの巻き込みや断熱圧縮による焼けの対策に使えることでしょう。課題は2つ。①キャビティ可動部の摺動可能な嵌合設計と②射出と型締めのタイミングをとる方法をどうやって確立するのかですね。大型の肉厚部品や大きな薄物部品のMIMに展開されることを期待しています。

*1 射出圧縮成形における樹脂流動性について、斎藤、松本、阿部、成形加工 第10巻 第6号 1998 P389