焼結体の炭素Cと酸素Oの量は、粉末のCとOの量と同じにならない。それは、CとOの還元反応およびブドワール反応(Boudouard reaction)が起こるためである。
還元反応 : C+O → CO
ブドワール反応 : CO2+C ←→ 2CO
【珈琲ブレイ句】この反応は圧力により変化し真空度が高いほど低温でCO反応が優勢になっていきます。通常焼結1.33Paでは、600℃以上でCO反応が支配的になるという報告もありますが、現場の焼結チャートを観察すると900℃あたりからCO反応が激しくなっているのがわかります。実際の焼結品の炭素量は、CO還元反応だけで計算した値にほぼ一致しました。CO還元の計算は「CーO/1.33」です。この1.33は1モルのCとOの質量比です。もしこの計算値より焼結体の炭素量が多いときは、一次二次脱脂不完全によるバインダー由来の炭素が増えた。逆に少ないときは、酸化(錆び含む)で酸素が増えたことによる焼結体の炭素減少が考えられます。対策は、管理図や設備管理などの現場の品質管理QCが必要になります。
参考:”射出成形したSUS316Lステンレス鋼の脱脂、焼結過程におけるC,Oの挙動” 杉山、村田、天野、和出、木村、粉体および粉末冶金、第44巻第5号、416
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