・CO反応は高真空にしなくても起こる。
・しかし、真空度が低いと雰囲気に残留する酸素による酸化が起こる。
・それは、金属粉末の炭素Cと酸素OだけのCO反応確率を下げることになる。
・もしAr雰囲気でCO還元させた場合、高真空雰囲気と比較して酸素Oが多い、また高純度Arであっても微量の水分H2Oを含んでいる。
【珈琲ブレイ句】MIM黎明期を思い出せば、終始N2やAr雰囲気で脱脂焼結を行っていた試行錯誤の期間がありました。しかし、今は「CO還元反応工程で高真空にする」はマスト*1だと考えています。その理由として技術的理由と実用的理由があります。それは、①雰囲気中の酸素Oはできるだけ少なくすることで金属粉末の酸化を無くし、金属粉末の炭素Cと酸素OだけのCO反応確率をあげる。環境誤差の少ない理論計算通りのカーボンコントロールを行う。②不活性ガスで置換しても炉内に酸素が残る量は、高真空より劣る。③高真空にすることで、チャートのグラフからCO反応の始めと終わりを実用的に認識できる。
おまけ情報:真空度が低い(大気側)時は、CO反応だけでなくCO2反応も低温で発生する。真空度が高い(高真空)場合は、CO反応が支配的になる。その温度は約1200K(約927℃)。
*1 ステンレス鋼では水素雰囲気の方が良いとされています。炉の形式や使いやすさと品質とコストのトレードオフで採用されることがあるようです。
参考:”射出成形したSUS316Lステンレス鋼の脱脂、焼結過程におけるC,Oの挙動” 杉山、村田、天野、和出、木村、粉体および粉末冶金、第44巻第5号、416