ファインセラミックセンターJFCCが頒布している標準物質「共通熱履歴センサー(リファサーモ)」は、セラミックの大気焼結用に作られた”相対温度計”である。焼成炉の総合的な熱履歴の日常管理(統計的品質管理、管理図等)のための物差しである。リファサーモ(Mタイプ)をMIM脱脂焼結で試したデータを紹介する。
【珈琲ブレイ句】一流の熱処理メーカーではAMS 2750Dに従う温度管理を行い品質保証をおこなっていますが、MIM脱脂焼結炉で同程度の厳しい管理は行っているところは少ないと推察されます。複数の熱電対配線とデータロガーを設置するのは大変時間と手間がかかるのです。それでもMIM焼結品質を保証するためにはMIM脱脂焼結炉の熱履歴管理は必要不可欠です。そのひとつの方策として「リファサーモ」の様な「相対温度計」を量産品と一緒に焼結すれば、炉内定点観測による日常管理(管理図等)が可能になります。
リファサーモの主成分はアルミナ粉末ですが、金属粉末のMIMで使えるか試した結果、グラフ1の様に多項式で近似できることがわかりました。ただし実用化には少々問題がありました。それは、「イマイチMIM焼結体の寸法の感度と一致しない*1」のです。それで使うのをやめ相対温度計を自作することにしました。実際のMIM材料で(Qサーモ)を作る方法です。自社内の設備管理の範囲内でお勧めです。他にもいくつかメリットがありました。このQサーモについては、MIM指南書P152に記載しています。
*1 セラミック粉末と金属粉末との焼結速度傾向に差がある。MIM焼結では不活性ガスを流すので対流の影響を受ける。リファサーモの同一ロット品でも購入日によって差がある(社格±10℃)。
蛇足メモ:米国のOrton Ceramic Foundation が開発した相対温度計”TempTAB”は、大気、不活性雰囲気、還元雰囲気で使えるように設計されているようです。もしかするとMIMでも使えるかも?