2024年1月30日火曜日

一次脱脂は溶媒脱脂と触媒脱脂がベストな理由

 【珈琲ブレイク】MIMは成形、脱脂、焼結で金属の部品が作られます。脱脂は「一次脱脂」と「二次脱脂」に工程分割され、それぞれ目的が異なります。

一次脱脂の目的は、原理が全く異なる溶媒脱脂(水脱脂)と触媒脱脂に共通する表現を使えば「一次脱脂の目的は開気孔構造を作ること」です。このスポンジ構造(多孔質三次元構造体)が、二次脱脂(Debinder)である「加熱脱脂」で発生する多量の体積膨張した分解ガスを逃がす排気経路になります。この排気経路(煙突)が完璧であれば二次加熱脱脂で膨れや割れを防止することが容易になるのです。溶媒脱脂と触媒脱脂の一次脱脂は、表面から内部へ開気孔構造を作りながら進行していくのです。

開気孔構造=二次加熱脱脂の排気経路(煙突)

一方、一次脱脂に加熱脱脂を使う方法は存在し、日々進化しています。私も一部の材質で利用していました。工程日数短縮などコストダウンに貢献してくれるからです。しかし、一次加熱脱脂工程の初期は開気孔構造ではないことをよく理解して脱脂条件を決め、さらに適切なMIM形状を設計する必要があります。さらに、残留炭素が増える傾向がありますので焼結体のC%の管理図によるコントロールと、日常設備管理として脱脂焼結炉の真空排気系能力の維持が必要になります。


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