ステンレス鋼の真空ロー付けで使うNi基ロー付け剤BNi2をMIMへ利用する研究が面白いので記録しておく。
MIM粉末:析出硬化系ニッケル基超合金(IN718?)
高速拡散融点降下剤:Ni基ロー付け剤BNi2粉末(Ni-7Cr-4.5Si-3Fe-3B)
《実験の趣旨》ニッケル基超合金の固相線より低く低融点合金の融点より高い温度で液相を発生させ、毛細管力で多孔質構造に侵入させ拡散および粒子再配列による緻密化を期待する。最終的にはニッケル基超合金の液相焼結を促進させ結晶粒子を成長させることでクリープ強度の向上を図る。
《結果》BNi2を10wt%添加することで粒子成長が観察されるが、微細構造には有害な非平衡凝固生成物が含まれていた。
参考文献:”Liquid Phase Sintering of a Metal Injection Molded NickelBased Superalloy With Additions of BNi-2 Alloy Powder Using Differential Scanning Calorimetry” Metallurgical and Materials Transactions A, available online September 8, 2023, 13 pp.
【珈琲ブレイ句】研究結果は課題が残っていますが、今後の研究が期待される面白い内容です。
目的は違いますが、現役時代に銀ローを使ってMIM2部品(SUS316L)の一体化実験を行ったことがあります。焼結中に銀ローが侵入することで一体化するのですが、ロー剤が浸透した部分の収縮率が小さくなりポッコリと膨れてしまいました。結局2つの焼結品を普通に銀ローで一体化させることはできましたが、MIM技術ではなくなりました。
もしかすると、ロー付け粉末を数%添加したMIMフィードストックを作り、これで成形した2つのグリーン体を一体化焼結させると、新たな発見があるかもしれまんね。少なくとも局所ポッコリは無くなります。