理想的なMIM用金属粉末の必要な機能は2つ
①焼結密度が真密度に近いこと(理想は相対密度100%)*1
②焼結密度を最大化する焼結温度範囲(焼結機能窓)が広いこと*2
安価な粉末(平均粒径が大きく、タップ密度も小さい)で作ったMIMは高精度になることがあります。上記②の焼結温度範囲が広いので、「炉内温度ばらつき」があっても「焼結密度のばらつき」が少ないので寸法精度が高くなるという理屈です。しかし、その焼結密度が低い欠点があります。上記①がいまいち。これでも問題ない製品であればOKですが・・・・
①と②を両立させる材料開発が望まれます。
「焼結密度の平均値が高く炉内温度ばらつきの影響を受けない頑健な金属粉末」が必要です。品質工学で言うところの「ロバスト性能が高い」金属粉末になります。
これを知るには「焼結温度-焼結密度」のグラフを見る必要があります。
*1 ATMIXの超高密度MIMは相対密度99.5%(SUS630、SUS420J2)を発表しています。反対に、多孔質を作るMIMもあります。
*2 「焼結機能窓」の 温度範囲は密度が一定になる温度からサチレートし、高温側のリミットまでの範囲。高温側のリミット特性としては、オーバーヒートの限界温度があり、結晶粒が肥大化する限界、炭化物が肥大化する限界などで個別に判断する。