その原因のひとつに、炭素量が増えることによる融点降下がある。
炭素は融点を下げる力が強く、0.1wt%増えると融点が6.5℃下がる。注1)
炭素が増える原因は、バインダーが炭素として焼結体に残るためである。 バインダーが残る原因は、脱バインダー不足。 脱バインダー不足の原因は、排気系能力低下あるいは、処理量を多くしたため等である。
SUS440Cの炭素規格は、0.95~1.20wt%であるので、上限と下限では融点が17℃も違うのである。高炭素鋼のMIMの製造が難しいのは、このカーボンコントロールが難しいからである。
注1)C<1.7wt%のとき。母材炭素量が多いと、さらに融点降下が大きくなる。例えば、母材Cが4.1wt%を超えるものでは、0.1wt%のC増加で融点は10℃降下する。