前報と同じインドの2大学で行われた品質工学を使った実験。今回はMIMの成形実験のパラメータ設計、最適化の事例である。
【実験条件】変形L27直交表(3水準×8因子)、特性値:衝撃強度、8因子:(射出圧力、射出温度、金型温度、保圧、射出速度、粉末量、保圧時間、冷却時間)材質:SUS316L(ガスアトマイズ粉、OSPREY、D50=13μ、<53μ99.2%、TD=5.0g/cc)、バインダー:(PMMA、PEG、SA 3種配合比不明)脱脂:水脱脂60℃×6H→乾燥→加熱脱脂350℃(アルミナ粉末中)→徐冷、予備焼結:900℃×1H、焼結:1360℃×1.5H(真空)
因子 |
水準1 |
水準2 |
水準3 |
射出圧力 |
50MPa |
60 |
70 |
射出温度 |
140℃ |
150 |
160 |
金型温度 |
45℃ |
50 |
55 |
保圧 |
65MPa |
70 |
75 |
射出速度 |
5cm/s |
10 |
15 |
粉末量 |
60VOL% |
61.5 |
63 |
保圧時間 |
5sec |
10 |
15 |
冷却時間 |
5sec |
8 |
11 |
【結果】有意になったものは3つ「射出圧力(28%)」「金型温度(11%)」「粉末量(5%)」である。その他の因子は誤差にプーリングさせる。()の%数字は、この実験範囲内の寄与率。 要因効果図は、SN比ではなく特性値そのままで作図する。
【珈琲ブレイ句】衝撃強度を高めるには、「射出圧力を高くする」「金型温度を上げる」この2つは100%納得できますね、確実に成形密度が向上し、内部欠陥(ウエルド等)が減少する効果が期待できるからです。ただ、有意であった「粉末量」は、真ん中の水準61.5VOL%が最適となっています。この数字が微妙にハテナ?なのです。粉末TD=5.0g/ccにしては、全体的に粉末量が少なく感じる。
内部欠陥を完治させるためには「保圧」の方が重要じゃないのかと思われた方は上級者です。今回の実検で保圧が有意でないのは「実験の水準巾が狭かった(実験計画の問題)」ためだと思われます。つまり今回の保圧の水準は「すべて保圧が高い」と思われます。「保圧は65MPa以上で差が出ない」と解釈しています。
参考文献:http://technical.cloud-journals.com/index.php/IJAMME/article/view/Tech-331