レオロジーとは、変形性と流動性を包含させた造語で、日本語は流動学である。基本法則は、「せん断応力がせん断速度の(n-1)乗に比例する」ことである。これはPower Low(べき乗則モデル)と呼ばれている。
このnはべき乗指数、べき指数(Power Low Index)、せん断感度指数(Shear sensitivity index)と呼ばれ、nによって流体の特徴が決まる。それは次の通りである。
n>1 Shear thickening、ダイラタンシー、「水で浸した片栗粉」
n=1 ニュートン流体、「水」
n<1 Shear thinning (ずり流動), 擬塑性流体、「MIMフィードストック」
◆ポリマー専門BLOGにMIMのn値がわかる論文(Azadeh Farahanchik博士)があるので紹介する。
《要旨》MIMフィードストックのnは1より小さい値をとる。せん断速度(射出成形の速度)が増加すると金属粒子が自由に動き、流れの方向に沿った粒子の配向・秩序化が起こる。これにより、粒子間に閉じ込められた浮遊溶融バインダーの量が減少し粒子間の運動が促進され粘度が低下する。実験範囲内での最良値はn=0.71である。
【珈琲ブレイ句】もしMIMフィードストックのnが1より大きければ、射出成形に不向きなダイラタント流動挙動になっているということです。低速でも高速でも粘度が高いので射出成形が難しい。これは粒子の無秩序化が発生しているということで、上記BLOGでは「slide overring」することができないため粘度が上昇すると説明しています。ところで、スライド・オーバーリングとは何でしょうか??そもそも動詞の扱いでいいのか!と突っ込みたくなりますが・・スマホ画面を指でスライドさせるイメージだと思われますので、たぶん粒子が互いに滑りあう「ずり流動:シェアシンニング」のことですね。このことを考えれば、粉末は球状の方が良いとも言えそうです。そういえば先日、学生さんが成形できないというので話を聞いてみると、ポリマーに数ミリのファイバーを半分混ぜていました。粒子の無秩序のレベルではない・・「え!それは成形できない」と心の中だけでツブヤキマシタ。徹夜実験も無駄ではない、失敗こそ宝なのです。ファイト!