シンターハードニングとは、粉末冶金で、加圧成形した成形体を焼結炉内で焼結したのち連続してガス急冷させて焼入れを行う技術である。最近では自動車部品の量産化に採用されている。粉末材料の成分は、焼入れ性の良いNi、Mo、CrおよびMnなどを添加させる。さらに炭素として黒鉛を0.3~0.8%添加させる。バインダー(潤滑剤)は、0.8%程度。焼結後、オーステナイト変態点で保持し、直後にガス冷却室へ移動。ガスを噴射しマルテンサイト変態点以下に急冷(2℃/秒以上)させる。
【珈琲ブレイ句】このシンターハードニング技術をMIMに応用できないか無責任に考えてみた。MIM粉末で使えそうなのは、CrとMoが多くて炭素0.4%のSCM440かな? MIM用真空脱脂焼結炉の冷却機構だと急冷は難しいけど、窒素ガスを大量に入れてファンを回せばなんとかなるかも? 実験しないと正確にはわからないが、間違いなく硬度はあがるので客先仕様を中硬度、中強度にしていただければ量産化できる可能性がありそうです。また、焼き戻しはどうするのかという課題もあります(疲労破壊試験が必要だろう)。さらに、大きな懸念がひとつ。それは精度。MIMは焼結密度が高いので硬度が高いとサイジングが効かないのです。いくつもハードルがあり、お客様との共同開発のアプローチが必要であることがわかりました。