MIM製INCO713LCにおける熱処理の効果について記録する。
焼結体密度:99% (Schunk Sintermetalltechnik 社製)
溶体化処理:真空1200℃×2H後、Arガス冷却
時効処理:925℃×4H
比較材:MIM焼結体(as sintered)、MIM焼結体(溶体化・時効)、鋳造品+HIP
《結果》
焼結体と比較して、高温での Rm と Rp0.2 は熱処理後に増加する。これは、粒界での微細化された γ’ と炭化物の析出に起因すると考えられる。 ただし、延性が大幅に低下する。
鋳造 + HIPと比較して、MIM IN 713LC は 700°C までの温度で高い強度を示す。 焼結体(as sintered) の延性は、鋳造 + HIPの延性よりも高くなる。 ただし、MIM焼結体(溶体化・時効)の延性は、鋳造 + HIP 処理より試験温度範囲で低くなる。
500℃における回転曲げ疲労特性(83 Hz)では、焼結体(as sintered)とMIM焼結体(溶体化・時効)は同等の回転曲げ疲労特性が得られ、鋳造 + HIP と比較して優れた疲労挙動を示した。これは粒界の滑りに対する安定性によるものと考えられる。
参考文献:Vol. 10 No. 4 © 2016 Inovar Communications Ltd December 2016 Powder Injection Moulding International 65
【珈琲ブレイ句】MIMは粒界に微細炭化物が析出するため鋳造品より強度や疲労強度が高くなる可能性がある(伸びは熱処理で低下する)という内容です。ただ、比較している鋳造品はHIP処理だけで、溶体化時効が行われていない?ことが気になります。でも一般的にはMIMの方が鋳造(たぶんロストワックス)より組織が微細になることは確かですね。