2024年2月18日日曜日

粉末量SLの限界vs型内圧力vsグリーン体密度

 たいへん素晴らしい論文からグラフを転記する。

横軸が粉末量(Solid Lording)、縦軸(左)が型内圧力、縦軸(右)がグリーン体密度である。

結論:①粉末量SL(Solid Lording)を増加させるとグリーン体密度は比例して増加する。②しかし、さらに粉末量を多くするとグリーン体密度が頂点に達した後に低下する。同時に型内圧力が急激に低下する。この頂点近傍ががCSL(Critical Solid Lording)である。③CSL近傍のグリーン体(成形体)の表面に微細なクラックが発生していた。これは、CSL近傍では溶融粘度の増加および固化速度が大きくなることで、材料への圧力伝達が不足したためと考えられる。

参考文献:田中茂雄大久保健児濱田泰似  金属粉末射出成形法における樹脂流動に関する研究(1)&(2)”、Seikei-Kakou Vol.17 No.2 2005 & Vol.18 No.9 2006


【珈琲ブレイ句】この2つの研究は大変勉強になる秀逸な論文です。成形技術に関するヒントが詰め込まれておりMIM入門者の必読論文として推薦します。

「研究(2)ではMIMフィードストックの最適な粉末量は60VOL%である」と結論を出しています。ただし、使用している粉末の性状(形状、粒度、タップ密度等)によってこの結論は変化するので数字だけ切り取るのは危険です。

実験でCSLを求める一般的な方法は、ラボプラストミルで混錬トルクを測定するものです(MIM指南書P69 )。さらに推定式で予備実験用の概略CSLをタップ密度から求めることもできます(MIM指南書P76)。

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