2024年6月6日木曜日

工具鋼M2,D2のMIM量産化を可能にするポイント

 【珈琲ブレイ句】高炭素の工具鋼M2やD2、440C等を推しているMIMメーカーは相当技術力があると思います。どんな技術で乗り切っているのかまとめておきます。

①一次脱脂を確実に行っている。脱脂率の管理ができている。脱脂中に酸化するのもNGです(焼結での炭素減少バラツキに影響するため)。溶媒脱脂あるいは触媒脱脂がマストでしょう。

②二次脱脂焼結炉の炉内温度バラツキ幅を狭くしている(設備性能が高い)。

③二次脱脂焼結炉の焼結体炭素量管理ができている(管理図、設備保全管理)

④ロバスト性能の高い粉末調合を使っている。ピン止め効果を利用したロバスト性を向上させた材料です。ロバスト性とは品質工学の田口先生が説く外乱に影響されない頑健性のことで、ここでは炉内温度バラツキの影響を受けづらい(焼結機能窓が広い)材料ということです。方法は二つ。1)ピン止め効果を発揮する結晶粒粗大化阻止元素(Nb等)を微量添加する方法。 2)焼結性(焼結密度向上速度、温度感受性)が異なる粉末を配合する方法です。下欄に関連ブログと事例として関連特許を2つ紹介しておきます。

関連ブログ

マルチモーダルパウダーとは

高精度・高密度化が実現するバイモーダル粉末

高精度化に必要な「焼結機能窓 sintering window」とは?




関連特許
特開2004-263294: 焼結性を改善した金属射出成形用合金鋼粉末及び焼結体,三菱製鋼株式会社

特開2004-052051: 金属焼結体の製造方法及び金属焼結体,ジューキ株式会社