2025年4月13日日曜日

中空MIMの始まりをまとめる

 【珈琲ブレイ句】MIMは、金型のスライドコアで成形できない中空部品を作ることができます。方法は2つ。 ①複数部品を組み立てて拡散接合で一体化する方法。②中子を使って二重成形し、中子を一次脱脂(水、触媒)あるいは二次脱脂(加熱)で消失させて焼結する方法です。今回は、②の中子を使う中空MIMの公開情報と特許情報を調査し年代の古い順番に並べてみました。なんと粉末冶金で中空部品を作るアイデアは、少なくとも1977年に日本楽器(YAMAHA)が特許申請していました。

1977 日本楽器製造(PM+CIP→焼結)中空PM

1989/7 マツダ(特許出願、焼結カム)

1989/8 住重テクノセンター(特許出願)

1997 西原章夫(特許出願、リニアガイド)

1998 オリンパス(特許出願)

1998 インジェックス(特許出願)

1999 太盛工業(特許出願)

2008 JUKI(特許登録、動圧軸受)

2010 Megamet Solid Metals社(MIM2010会議で発表、インペラ、触媒脱脂)

2010 BASF(触媒脱脂)

2012 キャステム(特許登録、フィラー添加)

2013 浜松メタルワークス(旧テイボー

【中子材質】水脱脂:ポリビニルアルコール(PVA、膨潤に注意)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリアクリル酸(PAA)他、 加熱脱脂:アクリル(PMMA)他、 触媒脱脂:ポリアセタール(POM) 

2025年4月12日土曜日

溶媒脱脂に使うヘキサンは危険なのか?

 【珈琲ブレイ句】MIMの溶媒脱脂で使う溶媒の代表は、Nヘキサンです。しかし、常温で引火性があり危険だから使わない! と言われたことがあります。自動車のガソリンを自分で給油して、そのまま平気で運転している人に言われるとショックです。 そこで、危険の代名詞「水素」と「ヘキサン」と「ガソリン」の危険比べをしてみましょう。

ガソリン:可燃範囲は1.4%から7.6%。引火点は-40℃。

ヘキサン:可燃範囲は1.1%から7.5%であり、ガソリンとほぼ同程度。引火点は-22℃でありガソリンより高い。

水素:空気中の濃度が4%から75%という非常に広い範囲で可燃性大、無色・無臭。

結論:危険なのは、水素、ガソリン、ヘキサンの順です。すべて危険ですが適切に管理すれば問題ないのです。 今からヘキサンを使った溶媒脱脂を始めるならお薦めは、ドイツ製のLOMI社の溶媒脱脂装置かな? 機能だけでなく安全性でも優秀です。さらに汚染溶媒を蒸留再生までしてくれます。補足:ヘキサンは吸引すると神経系の障害を引き起こす可能性があるので、ブラウン体に残ったヘキサンの蒸発を考慮して天井に局所排気を付ければ安心です。

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