2024年の論文を共有します。17-4PHの研究で、コストダウンを目的に、BASF推奨の「水素」より安価な「窒素」と「0.2%水蒸気+窒素」の雰囲気で焼結を行って実用上問題がないかを検証しています。
参考文献:Corrosion behavior of 17 - 4PH steel, produced by the MIM process, sintered in different atmospheres、 Otávio Real Cappellaro, Jorge Luis Braz Medeiros 他、 Matéria (Rio de Janeiro), Vol. 29, No. 3 (2024), e20240120
脱脂:触媒脱脂(硝酸125℃)
焼結:サンプル1:窒素、1350℃ サンプル2:0.2%水蒸気+窒素、1350℃
結果:
・マルテンサイト系母材と均一に分散した金属間化合物で構成されている
・窒素と水蒸気で焼結されたサンプルの方が気孔率が高い
・硬度と強度は、窒素で焼結されたサンプルの方が高い
・窒素で焼結されたサンプルの電気移動抵抗は、窒素と水蒸気で焼結されたサンプルより高い(=錆びにくい)
結論:コスト削減などのために窒素(や水蒸気)で焼結する試みを行ったが、耐食性を最優先する現場においては、やはり従来通りの『水素還元雰囲気での焼結』こそが、現在確立されている最も優れた技術(最高水準の標準手法)である。
【珈琲ブレイ句】17-4PHの焼結には、やはりBASFが推奨する水素での焼結が良いという結論です。でも、論文中に、その優れているBASFのデータが記載されていません。仕方が無いので、探したのですが研究値に対応するすべてのデータは見つかりませんでした。
補足:私が現役だった頃、SUS630製の一般的な機械部品を窒素雰囲気中で焼結していました。上表の通り、機械的特性は、水素焼結品と比べて大差はありません。ただし、耐食性が懸念される場合には、水素雰囲気焼結の選択は考える必要があるかもしれません。
