近年発表されたハンガリーの大学とMIMメーカーAFTとの共同研究を共有します。 この論文は、MIMフィードストックの再利用(リサイクル)が、熱分解特性、レオロジー特性、収縮率等に与える影響を定量的に評価しています。
《MIM仕様》
粉末:4605、 バインダー量:45VOL%、 バインダー成分(推定):P-W55wt%、PP25wt%、SA5wt%、C-WAX15wt%
試験片:ASTM準拠 ISO2740のAタイプ(穴あき)
脱脂焼結時間:30H 「内訳:一次脱脂:加熱脱脂(~230℃)×5H、二次脱脂:加熱脱脂(~630℃)×7H、焼結1330℃、雰囲気:N2 」
《試験分析内容》「成形→粉砕→成形」をリサイクル1回とする。連続リサイクル8回分までの試験分析を行う。
MFI(Meit Fow Index)、SEM-EDS(微細構造解析-元素分析)、DSC(示差走査熱量測定)、TGA(熱重量分析)、収縮率
《結果》
・再生4サイクルまで、標準的な射出条件で熱的および流動特性は維持される。
・収縮率は再生4サイクルまで一気に上昇している。これはSAやWAX類の蒸発によるものである。
・WAX類の蒸発により粘度は上昇すること、PP高分子のポリマー鎖が再生で切断され粘度が低下すること、両者が相殺して粘度を決めている。
参考文献:”Impact of recycling on polymer binder integrity in metal injection molding”, György Ledniczky, Ferenc Ronkay, Pál Hansághy & Zoltán Weltsch, Scientific Reports | (2025) 15:21600
【珈琲ブレイ句】WAX類の蒸発を炭素量測定により検証しており、素晴らしい論文です。
少し疑問点もあります。このバインダーは実際にAFT Hungary Ltd.でMIM製造に使われているのでしょうか? おそらく研究用の材料だと思われます。なぜなら、バインダーが多すぎるのです。
実際のMIM現場では、リサイクルだけを単純に繰り返すことは行われていません。リサイクルを繰り返す度に、バージン材を定量混ぜて成形材料としています。そうすることで1回目から安定した品質を確保することができます。 詳細は「MIM指南書P84 4.1.3 リターン材の利用法」を参照してください。