2021年3月12日金曜日

対数正規勾配パラメーターSwを勉強する

「対数正規勾配パラメーター」とは、 粉末粒度分布を表すパラメータで「LOG-NORMAL SLOPE PARAMETER」のことである。(注意:私訳なので日本語でググっても出てこない。)ジャーマン先生の本でも紹介されているパラメータである。この値でMIMフィードストックの流動性が評価できる。Swは粉末の粒度分布の巾が狭いか広いかを表しており、Swが大きいと尖った分布、Swが小さいとすそ野が広い分布を表す。使用している粉末のSw値が小さい方が成形性が良い。その定義は次式である。

Sw=2.56/(LOG10(D90/D10))

(事例)90%<10μm(Sw4.7)の粉末と90%<22μm(Sw3.5)の粉末で高粉末充填量領域では明らかに流動性に差が出ている。どちらも同じ65VOL%のフィードストックの比較で、射出圧力が前者は約80MPa、後者が約62MPaである。(Sandvik社の論文、バインダーは触媒脱脂POM系)

【珈琲ブレイ句】Swは粉末スペック選定のひとつの基準になりますね。上の論文では次のことも示唆しています。それは「バインダーをジャブジャブ入れているときは差は無い」ということ。臨界粉末量を狙った高精度MIMフィードストック開発じゃなければSwを気にしなくていいのです。

話しが変わりますが「2.56」はどこから出てきたのか考えたところ、昔習った統計学の知識で解決できました。それは、正規分布の80%の範囲である±1.28σ=2.56σです。図解するとこんな感じです。Swは累計線のほぼ直線部分の傾き(b/a)です。a=LogD90-LogD10=Log(D90/D10)、b=2.56、(α=1)

これは「粉末分布が正規分布である」ことを前提にしているので二峰分布や三峰分布には多少使いづらいかもしれません。 

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