日本国内の粉塵爆発事故(1950~2007)は、平均で年6件発生している。その中の2件が金属粉末で起こっている。さらに金属粉末の種類で見ると38%がAl、18%がMgである。粉塵爆発事故全体の75%が不要物としての粉体(研削粉、バリ取り粉等)で、半分が非専業(粉末を利用した製品を造っていない事業所)である。
粉末燃焼の形態は2つ。①気相燃焼(炎あり)Al,Mgなど ②表面燃焼(炎無し)
粉体爆発が起こる3要素 ①反応を持続させるに十分な可燃物があること。②反応を持続させるに十分な酸素があること。③反応を起こさせるに十分な着火エネルギーがあること。
参考文献:”金属粉の着火・爆発危険性とその特徴”、榎本兵治、粉体粉末冶金、第66巻第11号、2019/11 P513-524
【珈琲ブレイ句】私はMIM製造20年の中で(金属粉末を使った混錬工程から脱脂焼結、表面仕上げ研削工程)一度も粉体爆発を経験していないのですが、今後ブームとなるMIM-like AMにも必要なので、危険予知訓練のつもりでもう一度粉体爆発についてまとめてみました。上の論文からわかることは、「専業メーカーでの事故は極少であること」それは「安全対策をキッチリと行っている」からでしょう。その安全対策とは「粉体爆発が起こる3要素」のひとつ以上の対策を毎日継続することです。空気には21%の酸素が含まれているのですが、そのまま付き合うとして(Ar充填させて混錬というジャーマン先生の提案はありますが?ゴメンなさい。)、現実的な対策は、粉塵を貯めないための清掃を徹底することが一番であると感じます。厄介なのは集塵機配管ダクトの掃除が難しいところで、特に、専門の先生によるとバグフィルターもヤバイということでした。またもう一つの要素、スイッチ類は防爆仕様にして火花が室内へ出ないようにすると安心ですね。
過去の関連BLOG: